児童相談所・一時保護所職員時代に参考にした書籍・資料等(適宜更新)
0 はじめに
私は2019年4月に新卒で千葉県庁に入庁し、児童指導員として児童相談所に配属され一時保護所の職員として2021年11月末まで所属しておりました。
一方で私の時代には、一時保護所職員向けの研修がなかったこともあり、自分で本を探したり、周りの人におすすめを聞いたりして、知識や制度理解などしてきました。その時に、特に参考になった書籍に絞ってご紹介します。(適宜更新。また最新の書籍や資料があれば、そちらにアップデートしていきます)
1 国の方針を理解する〜日本総研「はじめて一時保護所に着任する職員のためのハンドブック」〜
資料はこちらのリンクからご覧ください(日本総研、2022年「はじめて一時保護所に着任する職員のためのハンドブック」)
実際に私が参考にしていたのは、2018年版の「一時保護ガイドライン」(厚生労働省通知)でした。
その後、厚生労働省の令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業である「一時保護所職員に対して効果的な研修を行うための基礎的な調査研究」を行なった日本総研が、「一時保護ガイドライン」を踏まえて、新任一時保護所職員に向けて、わかりやすく作成された資料がこちらです。
このテキストブックは、初めて一時保護所職員に任用される方に、任用前の自習資料として、または業務従事中における手軽な参考資料として活用いただくことを目的としています。新任一時保護所職員が最低限知っておくべき事項や、新任一時保護所職員が今後業務の中でぶつかるかもしれない壁(例えば、保育士資格保有者が保育施設における子どもとの接し方と、一時保護所における子どもとの接し方との間のギャップに戸惑うなど)とその乗り越え方についてできるだけ簡潔にまとめました。
「はじめに」『はじめて一時保護所に着任する職員のためのハンドブック』より
私が初めてみたときには、衝撃的でしたね。わかりやすく説明されていたので、これをもとに各一時保護所で研修が行われていたら、すごく新任職員にとっては安心だろうなと感じました。
2 一時保護所の全体像を知る〜和田一郎編『児童相談所一時保護所の子どもと支援』〜
職員時代、最も参考になった書籍がこの本でした。私が読んだ時には第1版でしたが、第1版・第2版どちらもとても参考になる書籍でした。概要や制度の理解、実際の子どもとの関わり方、課題感や第三者評価など、一時保護所の全体像を把握することができるので、とても貴重な本です。
一時保護所についての書籍の中では、最もおすすめです。現在購入できるのは第2版ですが、第1版もとても重要な内容があるので図書館などで借りることをおすすめします。
第1版の目次はこちら(明石書店HP)
第2版の目次はこちら(明石書店HP)
3 子どもとの関わり方を学ぶ〜『興奮しやすい子どもには愛着とトラウマの問題があるのかも』(遠見書房)〜
子どもとの関わりの中で悩んでいたときに、別の児童相談所の職員の方から教えていただいたのが、この本でした。
静岡県の児童心理治療施設の先生方が書かれた本で、一時保護所の子どもたちとかなり共通した部分があったので、とても参考になりました。
ページ数は100ページなく、またかなり具体的な実践につながるので、読みやすい内容です。
「はじめに」や「目次」などはこちらから見ることができます(遠見書房HP)
この本では,吉原林間学園の試行錯誤の中で磨かれてきた,子どもも職員も「みんなで楽しい」生活を送るための考え方と具体的な方法を紹介しています。いまだ発展途上の内容ではありますが,叱られても直すことができず逆に興奮してしまう子どもたちをどう捉え,どう接するかについて新たな方向性を示すことができるのではないかと考えています。
「はじめに」『興奮しやすい子どもには愛着とトラウマの問題があるのかも』
4 セルフケアの重要性を実感する〜水澤都加佐、『仕事で燃えつきないためにー対人援助職のメンタルヘルスケア』
こちらはまさに燃えつき真っ只中だったときに、別の児童相談所の一時保護所の職員の先輩が教えてくれた本でした。
目の前にいる子どもたちに精一杯尽くそうとする方も多いと思いますが、頑張りすぎるのは禁物です。そんなことをやさしく教えてくれる本でした。
こちらも150ページなく、やさしい気持ちで読めるので、通勤前後でも読むことができたのがよかったです。私は常にこれを持って歩いていました。
「目次」などはこちらからご覧になれます(アスク・ヒューマン・ケアHP)
もし、あなたが、援助職という仕事をずっとつづけていくなら、また、つづけていきたいなら、そして、自分の仕事に誇りと使命感と責任感と義務感を感じているなら、もし、あなたが今後も人のためになりつづけたいなら、だれかの役にたちたちと思っているなら、ぜひ、この本を読んでください。
「はじめに」『仕事で燃えつきないためにー対人援助職のメンタルヘルスケア』
5 おわりに
本来はこうした知識や理解を研修でできればいいと思うのですが、同時に自己研鑽も重要な分野ではあると思うので、何か参考になればと思います。
そのほかまだまだ参考にしたものはありますが、需要があればまた追加でご紹介します。
ご覧いただき、ありがとうございました。