私の日記
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【ライターの「考える葦」としての生存〜AIの発展の中で】

けあけあ
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0 Open AI新しいAIモデル「GPT-4o」のインパクト

 ChatGPTの新しいAIモデル「GPT-4o」が発表されました。明らかに動作が早くなり、回答の精度も上がっています。
 そして大きなインパクトとしては、無料のユーザーでも使えるようになったということです(3時間毎の上限はあります)。

参照:TBS、2024年5月14日、米オープンAIが新モデル「GPT-4o」を発表 文章・音声・動画の同時処理が可能に

 ライターとしては危機感を持ちました。

 ただ一方で、個人にしか出せない文章の価値が高まるようにも思います。

1 ライターとしての危機感

 最新のChat GPTを試行錯誤してみました。

 記事やサイトの構成案、参考になる文章などを読み込ませて、文章を書いてみてもらったところ、かなり整った文章が出てきました。

 確かにAIっぽさを感じる文章であるのですが、すでにこの文章をもとに、自分なりに少し手を加えれば、情報を伝える文章としては不十分ではない文章ができています。ものの数分で60点〜70点の文章ができました。

 そしてこの機能が、無料のユーザーでも使えるようになるということは驚きです。つまり、文章を作りたいと思った人は、誰でも、手軽に、短時間で、無料で、60点〜70点の文章を生み出すことができるということです。

 これは人から文章作成を依頼されるライター業界には大きな影響がありそうです。

 無料で、誰でも、短時間で、AIを活用することで文章ができるとすれば、誰がお金を払ってライターに文章を書く依頼をするのでしょうか。言い換えれば、今後ライターの価値はどこに見出されるのでしょうか。

2 ライターの属人性の価値

 今後は特に「このライターの文章が好きだから」「このライターじゃないと書けない分野だから」「そのライターなりの深い考察が必要だから」といった、ライターの個性(属人性)がかえって価値を増すように思います。

 これからますます文章作成においてはAIが活用されるでしょう。私たちが目にする文章の大半がAIによって作られた文章となる未来も近いようです。

 とすれば、希少価値が出てくるのが、その人だから書くことのできた文章の価値でしょう。

 誰もが書くことができる文章はAIにも書くことができます。

 一方で、人間にしか書けない文章は必ずあります。それは、その人が何十年と生きてきた背景・経験に基づいた、その人が考えてたどりついた知恵です。この何十年と生きた経験に基づいて、その人が必死で考えた知恵は、人の数だけあります。

 AIは確かにビックデータを学習して、それらを踏まえた文章を書くことはできますが、個別性の高い人の歴史に基づいた文章は書くことが性質上難しいはずです。(将来AIが仮想の人生を歩むことができるとしたら話は変わりそうですが)

 だからこそ、これからのAIの発展が目覚ましい中で、ライターが生存戦略を立てるとすれば、ライター独自の歩んだ人生を経て学んだ知恵に基づいた文章をいかに書けるかということではないかと思います。

 思想家であるパスカルは、壮大な自然の中で人間は最も弱い存在ではあるが、「考える葦」であることに、人間の尊厳があることを説きました。

 2024年現在、自然だけでなく、人間によって生み出された人工の知能は、人間の存在を大きく上回ろうとしています。

 その中でも、パスカルが説いた「考える葦」という考えは変わらないでしょう。AIがものの数秒で文章を書きますが、人は固有の道を生きながら、考え続けること自体に価値があることであって、その考えた末に生まれた文章の価値はこれから大きくなっていくでしょう。

3 AIとライターの共存

 とはいえ、AIとライターは共存していくべきだとも思っています。そもそもAIをどのように活用するかについては、結局人が考えることです。また一方でライターの個性とはなんぞやを考える際にも、AIと議論したり、壁打ちしたりすることで見える価値もあるでしょう。 

 それをすでに実践している先人も多くいます。将棋界では藤井聡太さんがAIを活用しながら目まぐるしい活躍を見せていることは有名です。また芥川賞を受賞した九段理江さんもまた、AIを活用しながら執筆したことも話題になりました。

 確かにこれから人が書く文章は重要性を増しますが、一方でAIの活用も必要になってくる時代になるでしょう。

①AIを活用スキル
②ライターの個性が出るような文章スキル
③①②を組み合わせたスキル

以上3つのスキルを臨機応変に使い分けていくことがこれから必要になるでしょう。

運営者について
飯島章太
飯島章太
フリーライター
元児童相談所職員での経験を活かして、子ども・若者のケアに関わる人たちに取材を続けています。著書に『図解ポケット ヤングケアラーがよくわかる本』 。
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