自分の経験や知識の強みは、他人に活かされて、ようやく自覚した

1 自分の「強み」は自分ではわからなかった
私は今フリーランスのライターとして働いています。ありがたいことに、なんとか細々と暮らせるくらいになりました。ご依頼の多くは、お知り合いの方からであったり、そのご紹介からであったりしています。「働かせてもらっている」と表現したほうが正しそうなくらい、人のこ゚縁に支えられています。
そこで感じるのは「自分の経験や知識の強みは自分だけではわからなかったなぁ・・・」ということです。他の人から「あなたのこの経験が活きると思う」「それってこの分野では強みじゃない?」と教えてもらったり、認めてもらったりすることで、私は自分の「強み」というものを自覚することができたと思います。
2 ライターという可能性を信じた
私は学生時代、法律学や社会学を専攻していました。一方でアルバイトやボランティアとして、子どもの電話相談であったり、障害のある方の介助であったり、非営利活動団体の英語の翻訳など、福祉の領域にも関わる機会をいただいてきました。
新卒では千葉県庁の児童相談所に入りましたが、その次の仕事として選んだのはライターでした。新卒では公務員でしたので、どのようにして自分の生活を支えるためのお金を自分で稼ぐかについてあまり知見はなく、次の仕事をどのようにして生きていくのがよいか全く見当もつきませんでした。
一方で学生時代には研究活動を通じて大量に文章を書き色々なリサーチもしていました。「何か仕事にできるとしたら、ものを書く仕事であるライターなのではないか」そう思い、ライターになりました。生活としては厳しかったものの、細々と暮らしてはいました。
3 仕事への、裁判の影響
そして、2022年7月に裁判が始まりました。裁判にあたっては、学生時代に学んだ法律学の知識や福祉現場での経験が活きましたし、様々な報道機関の方が記事にしてくださいました。
一方で実名・顔出しで裁判をしていた関係から、仕事面は壊滅的な影響を受けました。これまでやりとりしていた方と急に連絡が途絶えることがいくつかありました。またこちらからメールをしても返信が来ないことも珍しくはありませんでした。仕事が決まっても理由なしに急に断られるなど、挙げればきりがありませんでした。これでは、生きていくことすらできないのではないかと、覚悟もしました。
4 転機だった移住
そんな頃ご縁あって、埼玉県の秩父地域へ移住することになりました。移住先では、千葉県ほど裁判の影響を感じる機会は少ないように感じました。機会に恵まれて、地域のニュースを記事にするお仕事や、地域のご高齢の方のスマホやパソコンに関する相談を受けるお仕事、自治体のグループウェアのお問い合わせ対応のお仕事、ファミリー向けの宿のスタッフなどのお仕事をいただきました。
どの仕事も全く経験はありませんでした。ですが、これまでの自分の経験や知識が活きたように思います。学生時代、地域へのフィールドワークを専門的に学んでいたこともあり、地域の情報を収集することは、苦手ではありませんでした。また、ご高齢の方からの相談やお問い合わせ対応についても、祖づ案からニーズを把握するという福祉現場での経験と共通するものがありました。また宿のスタッフも、お子さんや赤ちゃん向けにどのような宿が心地よいか、親御さんたちが疲れをいかに癒せるかということを考える機会にもなりました。
大学での学びや福祉現場でのケアの経験が、他の業界でも活きるのだということを非常に感じていました。
5 千葉県に戻っても、活かしてもらった
事情があり千葉県へと戻ることになりました。仕事は相変わらず長く苦労しました。一方で、様子を気にしてくださる周囲の方々から、声をかけてくださり、仕事をくださった方もいました。
ライターに関していえば、児童福祉に限らず、医療・福祉に関する記事もあれば、企業のインタビュー・イベントレポート、訪問記などのビジネス領域の記事のお仕事もいただいてきました。
お仕事をいただいたある方からは「福祉の経験を持たれている方は、話をきくことに長けていると感じていたので、依頼しました」とお話してくださり、「これまでの経験は無駄じゃなかったんだ!」ととても感じました。またご縁あり、企業の採用支援のお仕事にも関わる機会がありました。相手の話を聞いて、質問をし、言語化するということは、福祉やライターの経験にも共通するのだなと興味深かったです。
6 まとめ:人のつながりから「強み」を発見していくプロセス
現在はライターのお仕事をメインにしていますが、これまで様々なお仕事に関わらせていただけたことは貴重な経験でした。これまでの知識や経験が、別の領域でも活きるというのは全く想定外でした。このことは、もし裁判で仕事において壊滅的な影響を受けていなければ、わからなかったと思います。
人のつながりから幅広いお仕事に関われたことは、自分の経験がどのように活かされ、自分の「強み」はどこにあるのかを発見できる、大切なプロセスだと感じました。
裁判の影響は、地方裁判所で勝訴した今でも、計り知れない面があります。そのため、これからもライターのお仕事を続けられるかどうかわかりません。ですが、結局今いただいているお仕事や活動をするなかで、自分の経験や知識はどこに需要があり、どのように活かされていくのかを体感することが、今私には大切なことのように思います。今ある目の前のお仕事を面白がりながら、充実させていくこと、それに尽きるのではないかと、思っています。