同僚が退職し、異動することになった4月半ば〜〜千葉県・児童相談所職員16日目
1 退職を決断した同僚、異例の辞令を受けた同僚
シリーズ「なぜ元職場の千葉県・児童相談所に裁判を起こしたのか」の職員時代の勤務編。
前回は、一時保護所のルールに子どもも職員も萎縮していることについて記事にしました。
一時保護所の文化や労働環境に戸惑っていた4月中旬、同じ一時保護所に配属された同僚が退職することになりました。そのショックが冷めない中、さらに1人が別の部署に異動することになりました。
今回はそのときの日記を振り返ってみたいと思います。
2 退職、異動、欠員・・・現場職員が足りない
「2度目の夜勤終了。今日は会議があったので12時出勤12時退勤という24時間仕事場にいた。
それは置いといて、1人同僚がやめることになった。もともと職場への不安や不満を打ち明けてくれた人だ。打ち明けてくれたのに、何もできなかった自分がやるせない。まあこればかりはしょうがない。」
(4月16日日記)
ある日、同じ一時保護所で働いていた同僚が辞めることになったことを聞きました。
実は同僚からは、入庁して翌日の勤務後から「辞めるかもしれない」と言われていましたし、すでに転職サイトにも登録しているるとも聞いていました。
同僚は何度も「休憩時間ないのはおかしいって」「研修もないのは変」と話していたことをよく覚えています。
それはほんとうにそうだと思います。休憩や研修がないといった労働環境はもちろんですが、仕事内容についても1度だけ仕事を見た後にはすぐ新人に任せられることになっていきました。夜間の勤務についても、かなり肉体的にもハードな仕事です。実際日記の日にも、私は24時間職場にいたようです。多くの新入職員はそんな状況にすごく動揺していました。
そして続いて、また1人新入職員が別の部署へと異動することになりました。周りの先輩職員からも、「こんなこと珍しい」と驚いており、かなり異例だったことが伺えました。
異動することになった新入職員も「仕事になれてきたと思ったら・・・」と戸惑っていました。
千葉県としては、なんとしてもその部署の人員を確保する必要があったようでしたが、その職員の状況を考えれば、本当にすごく気持ちが揺れたことだろうと思います。
こうして、私のいた一時保護所の職員は一気に職員が減ることになりました。そもそも4月時点でさえ、欠員があるような状況でした。4月には子どもたちはすでに定員を大幅に超えている状況が続いていたので、むしろ職員を補充して欲しいと上司から県に対して訴えかけていたところでの、さらなる欠員でした。
結局、その後1ヶ月ほど経って補充されたのは、非常勤の学習支援員さん1名のみでした。
3 職員だって生きている
その日の日記には続きがありました。
「ただ、正直言えば、その人がやめることを決断した理由はよくよく納得できる。確かに職場の人はとてもいい人ばかりで、的確なアドバイスもいただけるし、フォローもしていただける。とっても恵まれた仕事場だなと感じる。
一方で、生意気に意見を言わせてもらえば、県全体の組織として、福祉職新人の育成が体系立っていないと感じる。まず入庁希望者に、これからどんな仕事をすることになるのかイメージをすり合わせる機会すらない。何もイメージできない中で4月1日に入って、急に翌日から現場に入り、お休みも不定休で、何をこれからしていくのかも見通せない。県全体の組織としてフォローされない限り、その不安は一人で抱えていく。
これから自分は何をしていくんだろう、自分はやっていけるのだろうか、どんな大変なことがこれから待っているんだろうという不安に一人一人が潰されていく。
県の方針として、そこから這い上がる人しかいらないというのなら、別にいい。でも少なくとも私は、やめる決断をした人を責められない。一度はこの仕事を志そうとしたその人の意志を大事にしたかった。欲をいえば、一緒に同僚としてやっていきたかった。
なんて思った今日この頃。」
(4月16日日記)
この日記以上に語る必要はないかと思いますが、2019年4月の時点ですでに千葉県庁の職員の扱い方が伝わるのではないかと思います。
2024年7月の段階、この状況は改善しているでしょうか。以下で書いた記事にもありますが、千葉県は定員割れを起こしている状況が数年続いています。
職員には一人一人の人生があります。大変な中で生きてきた人もいるでしょう。大切な人を守るためにこの仕事を選びたいと思った人もいるでしょう。これからの子どもたちの未来を守りたいと、児童相談所の勤務を志した人もいるでしょう。
職員にも家族がいます。職員のことを育てた人がいます。職員のことを大切に思っている人がいます。
職員は、生きているのです。「子どものため」という大義名分で、法律の最低限のルールを守らず、使い潰し、つらい思いをさせ、その人の人生を狂わせることは、誰にもそんなひどいことはしてはいけないはずです。
でも上の記事や今の状況をみるに、とても私が勤務していた状況より、千葉県の児童相談所の状況がよりよくなっているとは思えないのです。
4 終わりに
今回は、データや一時保護所の状況というよりは、私の同僚が辞めたり、異例な辞令を出された件を振り返ってみました。
私の今回の裁判は、一時保護所の子どもたちのためでもあり、自分のためでもあると何度か書いていますが、千葉県庁の児童相談所で働く・働いていた職員への想いも強くあります。
子どもの命を守ることも、職員の心身を守ることも、大事です。それをどうか千葉県にわかってほしいと思っています。
私も自分の身を守るために、以下の本をお守りのようにしていました。この本は、同じく千葉県の児童相談所の職員を退職した方から紹介された本でした。よければ、手にとってみてください。