裁判ブログ編
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千葉県・児童相談所での勤務がおかしいと感じたのはなぜか〜合格から入庁式まで

けあけあ
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1 千葉県・児童相談所職員時代・勤務編

シリーズ「なぜ元職場の千葉県・児童相談所に裁判を起こしたのか」の職員時代の勤務編です。

前回までは「なぜ児童相談所で働こうと思ったのか」という動機編について書いてきました。これまでの記事は以下をご覧ください。

自分の言葉で語ることにした:なぜ元職場の千葉県庁・児童相談所に裁判を起こしたのか
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なぜ児童相談所職員になりたかったか〜父親の存在編〜
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なぜ児童相談所職員になりたかったか〜ボランティア編〜
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今回からは実際に千葉県児童相談所の一時保護所職員として勤務していたときに、なぜ「おかしい」と感じるようになったのかについて書いていきたいと思います。

その兆候は、千葉県庁に合格・内定してから、翌年入庁するまでの間にありました。

2 無事に千葉県庁に合格・・・だけど

2−1 千葉県への就職を決めた理由

子どもの相談を受ける仕事をしたいと考えていた私は、児童相談所への就職を目指して就職活動を行っていました。中でも私は千葉県での就職を希望していました。

理由としては主に2点です。

1 私は千葉県でずっと育ってきました。そうした地元千葉県への愛着もあったので、千葉県に貢献したいという思いがありました。

2 また千葉県の採用試験は「児童指導員」という職種であり、必ず子どもに関わる職種であったことも大きな要因でした(他の自治体の場合、「福祉職」採用として、幅広い福祉分野への配属も予定されていました)

上記の理由から千葉県庁への就職を希望し、無事に8月下旬ごろに試験に合格しました。

2−2 合格から翌年入庁するまでの違和感

9月終わり頃内定者面接を終え、9月末には内定をいただきましたが、翌年3月下旬にハガキ(4月1日の内定式の連絡)が送られてくるまで、特に連絡はありませんでした。

何が問題なのかといいますと、確かに私は児童指導員の合格をいただいたのですが、具体的な仕事内容や どのような働き方なのか、土日は休みなのか、それともシフト制(交代制勤務)なのか、夜勤はあるのか、どのような時間帯で働くのか、子どもと関わるための研修はあるのか、などは資料をいくらみても全くわからない状態でした。

当時の受験案内の「児童指導員」説明には「知事部局に勤務し、児童指導員として、児童養護施設で入所児童の自立促進や生活指導業務、児童相談所のケースワーカーの業務に従事します。」とあるだけでしたので、

児童指導員として働くのか、「等」として他の職種として働くのか、また児童養護施設なのか、「等」として他の施設で働くのか、児童相談所のケースワーカーとして働くのか、「等」として別の仕事をするのかが全くわかりませんでした。

結局私は翌年4月1日の入庁式・そして配属先での説明をうけてようやく
・私は児童相談所の市川児童相談所の一時保護所に児童指導員として配属されること
・シフト制(交代制勤務)があること(土日休みではないこと)
・夜間勤務があること
などが初めてわかることになりました。

2−3 千葉県野田市で虐待死が発生

 2019年1月24日、千葉県野田市である子どもが虐待を受けて亡くなった事件が発生しました。 毎日のように事件が報道され、事件を管轄していた柏児童相談所の対応が世間から大きな非難を受けていました。何度も千葉県庁の担当者が謝罪する映像が流れていました。

 この事件は誰にとってもショックでしたが、私にとっても大きなショックでした。私は千葉県の柏市で20数年育ってきました。事件が起こった野田市はまさに隣の自治体でしたし、柏の児童相談所は、私の生活圏内にあり何度も何度も日常的に目にしてきた場所でした。

 千葉県庁に就職が決まってからは、「私もここで働くかもしれない」と思いながら、その場所を見ていました。

 私は当時、まともにこの事件に向き合うことができないでいました。あまりにも身近な場所で起こった事件でした。生まれ育った千葉、隣の野田市、非難された柏の児童相談所、そしてその千葉県庁に入庁する私。

 世間やメディアからの批判は、4月に千葉県庁に入庁する私にとって大きなプレッシャーになりました。不安でいっぱいでした。果たして、私はやっていけるんだろうか、そんな思いの中で、入庁日を迎えることになったのです。

3 4月1日勤務初日 はじめてわかった労働環境

「某所勤務になりました。
 明日から普通に現場で働くようです。」

(2019年4月1日日記より)

 4月1日入庁式で、ようやく私は市川の児童相談所の一時保護課の児童指導員として配属されることがわかりました。

 入庁式のあと、スーツのまま市川児童相談所へと移動しました。同じように児童指導員として新卒で入庁した同僚たちも一緒でした。移動中、ここに就職した理由などを聞きながら、そのモチベーションの高さに励まされ、「一緒に頑張っていこう」と話し合ったのをよく覚えています。

 職場に到着すると、当時の一時保護課長からまず仕事のシフト表を渡されました。仕事の詳しい説明はまだでした。

 この職場ではシフト制(交代制勤務)であり、土日休みでなく4週8休であること、そして夜勤があることなどが知らされました。

 さらに課長からは「お休みは土日じゃなくて、連休もめったにはとれません。」「休憩時間は、昼休みには子どもと一緒にごはんをたべるから無いのですが、16時以降は子どもたちの記録を書く時間があって、そこでは座っているので、それが現状休みの代わりになっています」という話がありました。

 これは本当に大変な職場にきた、とその時気づきました。

 私のシフト表をみると明日には「夜勤」と書かれており、課長からは「明日から普通に勤務してもらいますが、夜勤いけるよね」と声をかけられました。そのときは私も「はい」と答えましたが、いったいどんな仕事があるのかもわからないままの返事でした。

 結局その後夜勤は変更にはなりましたが、同時に研修もなく明日から通常勤務だということがとても驚きを受けました。

 私が関わっていた電話相談のボランティアでは、実際に電話に出るまでに長期間研修がありました。それは、電話先の子どもたちを守るためでもありましたし、ボランティア自身が知識を身につけ、鍛錬をを積むことで自分自身のことも守れるようにするためでした。

 児童相談所の一時保護所には、一時保護が必要だと判断された家庭からの子どもたちがいます。子どもたちの背景はとても重く、丁寧な関わり方が必要だと思っています。家庭で傷ついた子どもたちがさらに一時保護所で傷つけられるなんてことはあってはいけないと思ったからです。

 にもかかわらず、研修もない状態で通常勤務に入るということはいったいどういうことなんだろうと、すごく戸惑いました。

 そして、仕事内容についても、「一時保護ガイドラインや千葉県の子ども虐待対応マニュアルというものがあるので、時間があるときに見ておいてください」と言われただけでした。勤務時間中にそれらの資料を見る時間の余裕もありませんでした。

 その後30分ほど、別の上司からオリエンテーションを受けました。いくつか資料を配布されましたが、オリエンテーションの内容はすごく衝撃的でした。ここにかけば、多くの方がショックを受けるような話でした。

 そのほか、施設の定員は20人のなかで大体30人以上いることが常態化していることなど話されていましたが、やはり詳しい仕事内容は「あとで資料を読んでおいてください」という感じだったので、詳しい内容は仕事をしてみないとわからない状況でした。

 退勤後、「とにかく大変な職場かもしれない」同僚と不安になりながら明日からの勤務のため、帰宅しました。

4 終わりに

 入庁初日からショックの連続だった私(たち)でしたが、翌日の通常勤務のなかでも、何度もショックや違和感を持つようになります。また次の記事で書きたいと思います。当時の日記について興味ある方がいらっしゃれば、以下の記事からご覧ください。

千葉県・児童相談所との裁判記事一覧
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5 あとがき

 今振り返っても衝撃の連続だった記憶が蘇りますね。ちなみに合格から入庁までの間にやっていたことは、ほぼ毎日こども福祉系の勉強会やイベントなどに参加して、学びを深めたり、そこで業界の人との関係性が生まれたりしていました。

運営者について
飯島章太
飯島章太
フリーライター
元児童相談所職員での経験を活かして、子ども・若者のケアに関わる人たちに取材を続けています。著書に『図解ポケット ヤングケアラーがよくわかる本』 。
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