読書メモ 支援者の権利擁護の実践と複数の支援者に開かれる支援の重要性
けあけあ
けあけあ
「傷口に咲く花」という言葉は、大学時代の恩師から贈られた言葉だった。私は苦労の多い人生だった。幼い頃から父親からの心理的な虐待に苦しみ、小学校中学校ではいじめや体罰に遭い、高校大学では持ち直したものの、就職先では過酷な労働環境からうつ病となった。
これらの「傷」は、社会の歪みを表している。暴言を吐き続けた父は、ちょうどリーマンショックによる苦境の時代を生きていた。いじめをした子たちは、実は家庭環境に苦しんでいた。就職先もまた、施設費や人件費に予算がつけられず、管理職は現場とトップの間に板挟みになっていた。「傷」は、大きな社会の歪みが、次第に立場の弱い者にしわよせとなって現れてくる。
それでも私が生きてこれたのは、その過去の経験の傷たちがあるからこそ、他者にやさしくなれると教えられたからだ。「傷」は、同じように「傷」で苦しむ多くの人たちに、やさしくなれる種だった。この「やさしさ」が、今の社会の希望になっている。
「傷」を持った人たちが、その「傷口」があるからこそ、「花が咲く」。そんな社会を目指したい。