【地方に移住し働くということ】
私は2022年8月に埼玉県横瀬町に移住し、2023年4月には隣の秩父市に引っ越し、たったの約1年だが移住の生活を送ってきた。
その結果、私にとっての移住生活の結論は
「その地域と適切な距離感が持てる”関係人口”くらいがちょうどいい」ということだった。
もし移住するのであれば、以下の条件は必要だと思う。
①移住した先で仕事を探すのであれば、しっかり契約書を交わし、労働法規を守っている法人での就職が良い
②①が難しいのであれば、ある程度自分が業務を安定して持っており、それを地方でテレワークとして行える体制が整っていること
③もしくは、地方から職場まで通うこと
つまり生活の土台となる仕事をどう確保するかが重要だと思う。
逆に以下のような地方での仕事は避けた方がいいと考えている。
①実際には「雇用」としての実態があるにも関わらず、業務委託契約を求められている場合
②業務委託契約であり、かつ地方の最低賃金法ギリギリの時給が設定されているもの
③契約先が法人ではなく、個人事業主の場合
④仕事で使うものについて、契約先が負担しない場合
上記の件以外もいろいろあるが、これは私の反省から来ている。
そして、今地方移住ブームの中で、私のような経験を繰り返してほしくないという思いがある。
確かに地方の生活はとても豊かなものだった。
自然にあふれ、人との交流は都市より濃く、環境としてはとても恵まれていた。
だが、地方に住むことには、都市に住むのと同様に、良い面・悪い面がある。それは「人」も同じだ。どんな地域であれ、地方であれ、都市であれ、良い面・悪い面がある。良い面しかない「人」や地域などない。
そして言いたいのは、誰が悪いわけでも、地域が悪いわけでもない。実はその背景には構造的な問題も根深いことがわかった。
そもそも都市と地方の非対称的な関係性から起こる構造もある。
悲しいことに、「地域活性化」「地方創生」という名の下に、地方を食い物にしようとしたり、ただ消費・利用しようとしたり、ただ自分の利益のことのみ追求する人たちや組織や企業もいる。
地方としては、そうした都市にあらがうために、どうにか地方で盛り上げたいという思いから、地方の事業主として、上記の労働条件のようにせざるを得ない面があったのだと思う。
やはり立場の弱いものに最終的に歪みが寄せてくるというのは、児童福祉業界でも、地方創生の業界でも似た構造があるのだと今回学んだ。
そこから言えることは、
「自分が搾取されていると感じたら、まず逃げる。」
ということだ。
これは誰が悪いわけでも、何か悪意があって行われているわけでも、「搾取してやろう」と思っているわけでもない。むしろ逆に「地域のためになるから」「あなたのためだから」という思いで行われていることがある。
だが、正直それが一番怖い。
無意識に、何も思わず、搾取し、搾取される構造があることに無自覚であることが一番怖い。
それが今回移住して一番感じたことだった。