裁判ブログ編
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1週間後の地方裁判所判決に向けた思い

けあけあ
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 千葉県庁との、児童相談所における未払い賃金等を請求した裁判の判決が、3月26日(水)13時10分から千葉地方裁判所601号法廷であります。まずは何よりこの裁判を見守っていただいたみなさまに、感謝申し上げたいと思います。
 提訴をしたのは2022年7月のことでした。約2年8ヶ月が経ちます。当初ここまで多くの方々からご関心をいただくとは、全く思っていませんでした。裁判をはじめたとき、重視していたのは結果、つまり判決の内容でした。裁判に勝つにせよ負けるにせよ、判決のなかで児童相談所・一時保護所の中で休憩時間とされてきたものが、労働時間だと認められれば、他の現役の職員にも未払いの賃金が払われ、またこれから新しく働く職員にとってはしっかり休憩をとれる環境が作られるかもしれない。そう思ってはじめた裁判でした。
 ですが提訴後、多くの方々にご関心を寄せていただき、ご支援や応援を数え切れないほどいただきました。本当に予想外のことでした。そしてそれが何より心強かったです。たったひとりの原告から始めた行動でしたが、今では8人もの弁護団に恵まれ、CALL4様のご支援やマスメディアでの記事掲載、そして本当に多くのご関心を持っていただいた方々のおかげで、私は力強く支えられていました。ひとりじゃない。孤立せずに、続けられた裁判であったことが、何より救いでした。
 そのおかげで、裁判にもう一つ大切な意義を持たすことができました。社会への問題提起としての意義です。これは多くの方々のご関心がなくては、成り立たないものでした。そして、この裁判の問題提起としての意義は、大部分達成することができたと感じています。もちろん判決の結果も重要です。ですが、その過程そのものが重要な裁判でもありました。判決は負けるか勝つかわかりません。でも、すでに私は100%裁判をした意義があったと思っています。
 私はこの裁判に人生を賭けたといっても過言ではありません。そして、私ができることはすべて尽くしました。どんな結果であっても後悔はありません。そうやって思えるのは、支えてくださったすべてみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。
 とはいえ、まだ地方裁判所の第一審の判決です。勝つにせよ、負けるにせよ、ここからがスタートだと思っています。控訴などがあれば、まだまだ裁判もアクションも続いていきます。どうか引き続き見守っていただけますと、幸いです。
 さて、いまだに私の中でもわかっていないことがあります。なぜ私は裁判するに至ったのか。根元にある価値観はなんだったのだろうか。これまでは漠然と、その現場を見て感じてしまったら行動せざるを得なかったからだと思ってきました。
 ですが裁判をするうちに、私自身が大事にしてきた価値観が見えた気がしました。それは「自分が生きた後、将来の世代に私は何を遺すことができるのだろうか」という問題意識から始まったように思います。裁判は判決文が将来遺っていく場合もあります。マスメディアの記事も、運がよければ遺っていくかもしれません。そういう意味もあったからこそ、私は人生を賭けて力を尽くせた面もあったと思います。
 では裁判が終わった後には、私は残りの人生で、何が後の世代に遺すことができるのだろうかと、最近考えています。まだ仮の考えですが、こんな感じはどうかなとおもっています。「例えば20年後に生まれる人たちが、生きていく中で、辛かったり、大変だったり、生きることすらやっとというときに、今をなんとか生きる/生きた人たちの知恵や経験を文章の形で遺しておき、それが未来必要となった時に見つけることができる状態にしておくこと」
 私は今ライターをしています。もちろん仕事として食べていけるかはわかりませんが、文章を書くことは続けていくと思います。その中で、未来への贈り物として、今を生きる人達の知恵・経験を言葉として遺すことに関われたらと思っています。
 そのためには、私も自分のことも文章に遺さないとだめかもしれませんね。そのためには、なるべく生きないといけないのかもしれません。でも裁判をして、歳を取るのも悪くないことなのかもしれないなと思うようになりました。経験を重ねていくうちに、もしかしたらこれまで理解しえなかった人たちを理解しようとできるかもしれない。人と関わり合っていくなかで、むしろ自分のことをもっと理解できるようになるかもしれない。その中で自分が書いていく文章が、もっと誰かを柔らかく包みこんで、少しだけ気持ちを軽くできるかもしれない。文章を読んでくれた人が、もう少し明日1日生き延びようと思ってくれるかもしれない。
 そんな希望を少しだけ持っています。裁判で救われていたのは、実は自分自身だったのかもしれません。
 

 

運営者について
飯島章太
飯島章太
フリーライター
元児童相談所職員での経験を活かして、子ども・若者のケアに関わる人たちに取材を続けています。著書に『図解ポケット ヤングケアラーがよくわかる本』 。
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